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英語難民救出文法レッスンー不定詞編

絶対分かる英語難民救出文法講座 -不定詞編

最近、高校生と話していると次のような会話がよく出てきます。「コミエ(昔でいうところのリーダー)はまあまあだけど英語表現(グラマー)が苦手」これを聞いて不思議な感じがします。英語って2つの科目だったけ? もちろん違います。共通テストで2つの別科目があるわけではありません。現実は全く別科目と思えるほど英文法が苦手な生徒は少なくありません。以前とは違い、文法のための文法問題は共通テストでは出題されません。しかしながら、文法は正確な長文読解のために必要不可欠です。私の長年の教授経験から感じることは、生徒さんの多くはこの読むための文法力が決定的に欠けています。学校の授業では、残念ながら「読むための英文法」という視点が明らかに欠落しています。文法の授業が長文読解で役に立つことが体感できるなら、別科目のように捉えるはずはないのです。私は金沢市英会話エスティームで数多くの英語難民の学習者を救ってきました。その長い経験から得た貴重なノウハウを皆様と共有したいと思います。

1 不定詞とは→動詞から派生したもの

不定詞とは動詞から派生したもので to +動詞の原形 という形をとって、文の中で名詞、形容詞、副詞の働きをするものです。中学では「〜するための」{〜するために}「〜すること」という3つの使い方あるよ、ということを習ったはずです。この段階の話を他にも無数の情報がありますので、あえて私はふれません。私が今日触れたいのは、多くの英語学習者を悩ませる「意味上の主語」という概念です。まず次の英文を訳してみて下さい。

It is difficult for me to speak English.
中学生の多くは「私にとって英語を話すことは難しい」と訳します。これが間違いだと言うつもりはありません。しかしながら、この訳をデフォルトにすると高校に入って確実に英語が苦手になります。英語を話すのは誰ですか?私ですね。つまり、不定詞speakの主語は for meなのです。このことを意識した訳は「私が英語を話すことは難しい」となります。英語が苦手な多くの学習者は不定詞の意味上の主語、という視点が圧倒的に希薄です。だから英文解釈に悩んでしまいます。分解すると次のようになります。

It is difficult 〜は難しい
for me to speak English. 私が英語を話すこと
→私が英語を話すことは難しい となります。

今日は不定詞の意味上の主語について深く考察したいと思います。

2 意味上の主語を意識した正しい英文の読み方

ここからが話の核心です。次の英文を訳して下さい。
My father wants me to be a doctor. (父は私に医者になってほしい。)という訳は模範訳ですね。
辞書にも want 人+to do sth 「(人)に〜してほしい」という熟語化された訳がのっています。この訳は正しいですが、英語学習者の英文法理解の足かせになっています。

医者になるのは誰ですか?私ですね。つまりmeは不定詞句 to be a doctor の意味上の主語なのです、上の訳を丸暗記することによる弊害は、意味上の主語という意識を希薄にすることにあります。また少し英文が長くなると英文解釈が困難になってしまいます。
例えば、My father wants me to be a doctor and take over his clinic in the future. だとどう訳しますか。一つのかたまりで訳すとちょっと大変ですね。
「私の父は私に医者になって将来クリニックを継いでほしい。」want 人+to do sth 「(人)に〜してほしい」という形を常に当てはめるのは大変です。

3 正確な速読に役立つ解釈法

それでは同じ英文をもっと意味上の主語を意識した合理的解釈で訳していきましょう。
My father wants me to be a doctor and take over his clinic in the future.

My father wants 私の父は〜を望む
me to be a doctor  私が医者になること
and take over his clinic in the future そして将来クリニックを継ぐこと

こうすれば→の方向に止まらずに一気に解釈できますね。ポイントは me と不定詞の to be, to take の主述関係を明確にしていることです。この意識ができるかどうかが、不定詞の真の攻略につながっていくのです。

4 意味上の主語を意識したwant の攻略法

次の3つの英文を訳して下さい。
a) I want a new computer.    私は新しいコンピューターがほしい。
b) I want to buy a new computer. 私は新しいコンピュータが買いたい。
c) I want you to buy a new computer. 私はあなたに新しいコンピュータを買ってほしい。

従来の教え方だど「〜がほしい」「〜したい」「〜に〜してほしい」という3つの違う訳し方を覚える必要があります。しかし、これでは英語が苦手な学習者はますます英語が分からなくなってしまいます。そこで次の訳し方を提案します。
a) I want / a new computer.    私は〜を望む/新しいコンピューター
b) I want / to buy a new computer. 私は〜を望む/新しいコンピュターを買うこと
c) I want / you to buy a new computer. 私は〜を望む/あなたが新しいコンピュターを買うこと

お気づきでしょうか。全て〜を望むという訳語を私は採用しています。これは日本語として一番自然ではないかもしれません。しかし解釈方法としては最も合理的なのです。質問があります。b)コンピュータを買うのは誰ですか? 私ですね。文の主語と不定詞の主語は同じです。だから I want me to buy a computer. と書く必要はないのです。この解釈の仕方だと意味上の主語が意識でき、しかも英文を→の方向に一方通行で読めるので、読みが速くなり一石二鳥です。英語が苦手な学習者の方には是非実践してほしいです。

5 最後に練習問題

それでは最後に練習問題で今日の知識を定着させましょう。下の英文を訳して下さい。
a) I will arrange for you to take a taxi to the airport.
b) The Internet enables you to take English lessons wherever you are.
c) The doctor advised me to do exercise and lose weight.

次のように解釈できたら、あなたの不定詞の理解は飛躍的に向上します。
a) I will arrange 私は〜を手配します。
for you to take a taxi to the airport. あなたが空港までタクシーに乗ること
b) The Internet enables ネットは〜を可能にする
you to take English lessons あなたが英語のレッスンを受けること
wherever you are. あなたがどこにいても
c) The doctor advised 医者は〜を忠告した
me to do exercise and lose weight. 私が運動して減量すること

下のような意味の区切り方は良くありません。意味上の主語を意識していないので。。。。。。
The doctor advised me 医師は私に忠告した
to do exercise and lose weight. 運動し体重を減らすこと
ポイントは意味上の主語と不定詞は一つのカタマリに捉えることです。これができるとできないとで偏差値は10変わる可能性があります。

以上今日は不定詞の意味上の主語について講義しましたが、お役に立てたでしょうか。これからも皆さんの文法上の悩みを解消できるブログを書いていきたいと思います。