English Mastery Insights
英語習得への洞察・知見

「子供の英会話、なぜ話せても“英語ができる”とは限らない?―BICSとCALPで見る本当の英語力とは」

子供の英会話ブーム、その裏にある見落としがちな落とし穴

近年、「子供のうちから英会話を!」という風潮が広がり、多くのご家庭が早期英語教育に力を入れています。英会話教室やオンラインレッスン、アプリ学習など、英語に触れる機会は確実に増えています。

しかし、英語を「話せている」ように見えても、それがイコール「英語ができる」とは限りません。実は、子供が英語で自己紹介をしたり、簡単な会話を楽しめたりするようになっても、本質的な英語力=将来に役立つ英語力が育っていないケースが少なくないのです。

「英会話ができる」と「英語が使いこなせる」は違う?

この違いを明確にするために、言語習得の世界では**BICS(ビックス)とCALP(カルプ)**という概念が使われます。

BICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)
→ いわゆる日常会話力。友達との雑談やあいさつ、簡単なやりとりが含まれます。

CALP(Cognitive Academic Language Proficiency)
→ 学校の授業や試験、論理的な説明、抽象的な話題に必要な学術的言語力です。

その理論を提唱するジム・カミンズ教授によれば、英語を母国語としない子どもが日常会話レベル(BICS)から、ネイティブの同級生に追いつくほどの学習言語能力(CALP)を習得するまでには、大きな「時間のギャップ」があるとされています。

習得にかかる期間の違いは以下の通りです:
1. BICS(生活言語能力)
習得期間: 通常、その言語環境に入ってから 6ヶ月〜2年 程度。
特徴: いわゆる「公園や遊び場での会話」です。ジェスチャーや表情、その場の状況など(文脈の支え)があるため、比較的早く身につきます。

「流暢さの罠」: 2年も経てば日常会話がペラペラになるため、周囲は「もう学習のサポートは不要だ」と誤解しがちですが、実際にはまだ学習に必要な言語力は備わっていません。

2. CALP(学習言語能力)
習得期間: ネイティブと同等のレベルに達するには、通常 5年〜7年 かかります。

特徴: 教科書、講義、議論などで使われる専門的・抽象的な言語能力です。文脈の支えが少なく、分析、統合、評価といった高度な思考力が求められます。

個人差: 母語での読み書き能力がしっかりしている場合は5年程度で済むこともありますが、十分な教育を受けてこなかった場合は 7年〜10年 かかることもあります。

この理論を日本国内での英語学習に置き換えると次のことが言えます。
子供の英会話レッスンでは、BICSが先に伸びやすく、すぐに「英語が話せるようになった!」と実感できます。ですが、CALPの力を意識して育てないと、「中学・高校での英語学習についていけない」「英語で考えを深められない」といった壁にぶつかることになります。

子供のうちに身につけたい“本物の英語力”とは?

本当に将来に役立つ英語力とは、BICSとCALPの両方のバランスが取れた状態です。つまり、「英会話ができる」だけで満足せず、論理的な文構造や語彙力、聞いた情報を整理・要約する力などを育てていくことが重要なのです。

特に日本では、以下のようなアプローチがCALP育成に効果的です:

正しい音読と発音を通じた「語彙+構文力」の強化

文法を暗記ではなく「使いこなす」ための文理解指導

内容のある英語の読解・リスニング素材を用いた思考力の育成

日本の英会話教育はBICS中心になりがち

日本国内の英会話教室や学校英語では、どうしてもBICS(Basic Interpersonal Communicative Skills)=日常会話力の習得ばかりが重視されがちです。
「英語で自己紹介をしよう」「買い物ロールプレイをしよう」といった活動は、確かに英語への親しみや自信を育む面では有効です。
しかし、それだけでは学術的・抽象的な英語運用力(CALP)を養うには不十分です。

しかもこの傾向は、子ども向けレッスンだけでなく、大人向け英会話でも同様です。
たとえば、多くの大人向け英会話教材(たとえば Interchange シリーズなど)は、**2人の会話をベースにした“ダイアログ形式”**を基本にしており、「レストランでの注文の仕方」「ホテルのチェックイン」など、日常生活に必要な表現=BICSの反復練習に偏りがちです。

その結果、「旅行英会話はスムーズにこなせるけれど、プレゼン資料を英語で書けない」「社内の英語会議で発言できない」「アカデミックな内容になると読めなくなる」といった、“英会話はできるのに実務や学習に生かせない”という壁にぶつかることも多くあります。

文科省の英語改革は支離滅裂です。「そもそも日本は、一歩教室を出れば英語が不要なEFL(外国語としての英語)環境です。それにもかかわらず、40人の一斉授業で『BICS(日常会話)ごっこ』をさせるのは、効率の極みと言わざるを得ません。一人あたりの発話時間が1分にも満たない環境で、中身のない定型句を繰り返す。これは教育ではなく、単なる『パフォーマンス』です。」

では、CALPをどうやって育てるのか?

CALP習得には、以下のような意識的な語彙トレーニングと読解・表現の練習が不可欠です:
学術的語彙の習得(例:contrast, analyze, consequence, interpret)

ー長文読解と要約練習
ー論理的な英文ライティングの指導
ー教科横断的な英語学習

BICSとCALPの橋渡しに最適な語彙教材:4000 Essential English Words

その中でも、特に私が効果を実感している教材が、Paul Nation著の『4000 Essential English Words』シリーズです。
この教材は、**日常会話でよく使われる基本語彙(=BICS)**から、**アカデミックな文脈でも頻出する語彙(=CALP)**まで、段階的かつ系統的に習得できる構成になっています。
すべての単語に簡潔な定義とイラスト、例文が付属

ー単語リストの丸暗記ではなく、文脈での意味理解と運用練習ができる
ーネイティブの小学生〜中学生レベルの読解にもつながる語彙が豊富
ーさらに特筆すべきは、各ユニットの最後に登場するショートストーリーの存在です。

これらの物語は、小学生レベルの学習者にもわかりやすい内容ながら、単語の「意味」だけでなく「使い方」まで自然に身につくよう設計されています。そしてこの物語の文体にも、CALPを意識した配慮が見られます。
たとえば:

Your stepsister wants flowers. → Your stepsister desires flowers.

Soon she saw a group of men. There were twelve men. → It consisted of twelve men.


といったように、簡単なBICSレベルの文を、より学術的な語彙や構文に置き換えて表現しているのです。

これにより、学習者は内容理解に過度な負担をかけることなく、難易度の高い語彙に集中して取り組むことができます。
「意味はわかるけど、こんな言い方もできるんだ」という形で、BICSとCALPの間にある“語彙の壁”を少しずつ乗り越えていける——これこそがこの教材の大きな魅力です。

英語環境にいてもCALPは自然には育たない

英語圏で生活していても、家庭で使われる英語は多くがBICSです。
また、英語が話せるからといって、抽象語彙や論理構文を自動的に獲得できるわけではありません。
だからこそ、CALPを育てるには戦略的な語彙レッスンが必要なのです。

CALP習得には「母語の力」も不可欠

「多くの方が『まずは楽しく会話から(BICS)』と考えがちですが、言語教育の定石はその逆です。学校教育という限られた時間で行うべきは、将来どんな土壌に行っても芽が出るような、質の高い『CALPの種』を蒔くことです。

強固なOS(論理構造)さえあれば、後から留学や仕事で必要になった際に、BICS(会話力)は爆発的な速度で適応できます。しかし、崩れたBICSが定着(化石化)してしまった後から、CALPを構築し直すのは至難の業です。小学校からの英語導入こそ、この『哲学』なきカリキュラムによる失敗が自明となっています。」

海外のインターナショナルスクールに通っているお子さんで、「英語ができるようになったはずなのに、授業内容が理解できない」「作文が弱い」と感じるケースは少なくありません。その原因の一つに、日本語=母語の土台が育っていないことがあります。

実は、学術的な言語能力(CALP)の発達は、母語での言語力と思考力に強く依存しています。
日本語で「要約する」「比較する」「抽象的に説明する」などの力が育っていなければ、英語でそれを表現することはさらに難しくなるのです。

つまり、たとえ環境が英語中心であっても、母語である日本語の読解力・語彙力・表現力をおろそかにしてしまうと、英語のCALPも伸び悩んでしまうという現象が起こります。当然ですが、

「CALPからBICSへの移行は可能だが、その逆はありえない」



これは「2つのバケツに同時に水を注ぐ」というイメージに近いです。
母語の器が大きく、思考の枠組みがしっかりしている子ほど、英語のCALPも早く深く吸収できる傾向があります。そういったお子さんは日本帰国後英検一級合格も夢ではなくなります。事実、私のスクールでは中学生と高校生の英検一級合格者を輩出しております。

英会話スクール選びで見極めたいポイント

子供向けの英会話教室を選ぶときは、「楽しいだけ」ではなく、CALPの土台となる学習も取り入れているかをチェックしましょう。

フォニックスや簡単な英単語だけで終わっていないか

長文の読み書き、論理的な表現指導が含まれているか

個々の成長に応じたフォローが行われているか

英検偏重の指導が行われていないか
英検という試験の功罪は歪な学習にならないように冷静に分析する必要があります。

このブログで述べているBICSとCALPというコンセプトを知っているか、スクールの先生にたずねてみるのも良い方法です。⇒この概念を念頭に入れてカリキュラム作りされているのは一流の証です。

これらの観点が、子供の英語力を“話せる”から“使いこなせる”レベルへと引き上げます。

エスティームで育てる、子供の将来を支える英語力

「学校教育が『ごっこ遊び』に終始し、言語のOSという最も重要な種まきを放棄している今、お子様に必要なのは『なんとなくの慣れ』ではありません。エスティームでは、40人の教室では不可能な、本質的なCALPの構築に徹底してこだわります。それが、20年先も通用する本物の英語力への唯一の道だからです。」

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