英語教育の「迷走」を止める:使役動詞の真実

My Story: From Court to Classroom
"I was your typical basketball-crazy junior high student. I poured all my energy into the game, leaving absolutely none for my textbooks. My academic performance was, to put it mildly, a disaster.
My mother, seeing no other way, asked my uncle to find a tutor directly from Kanazawa University. Although I was initially adamant about refusing to study, her persistent persuasion eventually won me over."
— Yasuhiro Shimizu, Esteem School of English
実は私、中学時代はバスケットボールに明け暮れる毎日で、勉強は二の次。成績は目を覆いたくなるほどひどいものでした。
見かねた母は、叔父に頼み込んで金沢大学まで家庭教師を探しに行ってもらいました。最初は「家庭教師なんて絶対に嫌だ!」と拒否していた私ですが、母の粘り強い説得に最後は折れ、週一回の指導が始まりました。
そこで出会った先生から「五文型」を徹底的に叩き込まれたことが、私の運命を変えました。英語の仕組みがクリアになり、成績は爆上がり。それが今の私の礎になっています。
さて、ここで皆さんに質問です。この「母が(説得して)私に勉強させた」という状況、英語で最もふさわしいのはどれでしょうか?
My mother let me study with a private tutor.
My mother made me study with a private tutor.
My mother had me study with a private tutor.
My mother got me to study with a private tutor.
日本の高校では、これらをすべて「〜させる」という使役動詞として習います。しかし、そのニュアンスは驚くほど違います。
「~させる」の誤解を解く:4つの使役動詞の正体
① let O do(許可):やりたい気持ちを「通してあげる」
let は、相手がもともと「やりたい」と思っていることに対し、邪魔をせずに通してあげるイメージです。
ニュアンス: 許可・放置
イメージ: 目の前にある「禁止」の柵をパッと開けてあげる。
清水少年の場合: もし私が「家庭教師と勉強したい!」と熱望していたなら let ですが、実際は拒否していたので不適切です。
② make O do(強制):拒否権なしの「圧力」
make は、相手の意志に関係なく、力ずくでその状態を作り出す(make)イメージです。
ニュアンス: 強制
イメージ: 背中を全力で突き飛ばして、動作の中に放り込む。
清水少年の場合: 母が「勉強しないなら夕飯抜き!」と力で押さえつけたならこれですが、エピソードにある「説得」というプロセスとは合いません。
③ have O do(指示・役割):当然の「流れ」
have は、その人に頼むのが「当然」という状況で使われます。
ニュアンス: 依頼・手配
イメージ: 役割というレールの上で、トントンと背中を叩く。
清水少年の場合: 業者が「仕事として」やる場合などはこれですが、親子間の葛藤がある場合には少し事務的すぎます。
④ get O to do(説得):苦労の末の「到達」
get の本質は、ある地点に「到達させる」こと。相手が動くまでに手間や時間がかかる場合に使います。
ニュアンス: 説得・努力
ネイティブの感覚では get の方がより「努力して、なんとかして〜させた(persuade)」 という苦労のニュアンスが強いです。
イメージ: 重い腰を上げさせ、対話を経てようやく目的地へ導く。
清水少年の場合: 「拒否」から「納得」までのドラマがあった私のケースには、この get が完璧にフィットします。
「to」がある理由、ない理由:英語OSの核心
それは、「心理的・時間的な距離」があるからです。
原形不定詞(make, have, let)= 距離ゼロ
これらは指示や圧力をかけた瞬間に動作が始まります。そこに迷いや隙間(to)がないため、動詞が直接結びつく「原形」を使います。
to 不定詞(get)= 距離あり
get は説得が必要です。私の母が私を説得し、私がそれを受け入れ、机に向かうまでには「時間的なプロセス」と「心の移動」があります。この移動の軌跡(矢印)こそが to の正体なのです。
「命令」なら何でも強い?:tell vs make の真実
(A) My mother told me to study hard.
(B) My mother made me study hard.
どちらも日本語にすれば「母は私に一生懸命勉強するように言った(させた)」となり、(A) の tell も「命じる」という強い意味で習いますよね。
しかし、英語OSの視点で見ると、この2つには天と地ほどの差があります。
「言葉」で終わる tell、 「結果」まで支配する make
結論から言うと、圧倒的に強いのは (B) の make です。
My mother made me study... (B)
make は「ある状態を作り出す」動詞です。この文を使った瞬間、「私は実際に勉強した」という事実までがセットになります。本人の意思に関係なく、結果を確定させてしまう。これが make の持つ最強の強制力です。
My mother told me to study... (A)
一方、tell はあくまで「言葉を投げかけた」だけです。後ろに to study という「矢印」があることに注目してください。
前回の議論の通り、to は「これから向かう方向」です。つまり、母の言葉は私に届きましたが、その矢印の先に私が実際に到達した(勉強した)かどうかは、この文だけでは分かりません。 言われっぱなしで無視した可能性だって残されているのです。
「心理的距離」が形を決める
make O do(原形)
相手の胸ぐらをつかんで、動作にダイレクトに叩き込むイメージ。反論する隙間も、心理的な距離(to)も一切与えないからこそ、最短距離の「原形」を使います。
tell O to do(to不定詞)
言葉を発し、それが相手に伝わり、相手がそれを解釈して動く。この「言葉が届いてから動くまでの間」に存在するわずかな距離が、まさに to という空間です。
文法は「人間関係」の現れ

let は、相手の願いを叶える「優しさ」
get は、時間をかけて向き合う「忍耐」
tell は、方向を示す「期待」
make は、逃げ場を与えない「支配」
高校生の皆さんが使役動詞を学ぶとき、単に「〜させる」と訳すのではなく、その裏にある「心の矢印(to)」が見えるようになれば、皆さんの英語OSは劇的に進化します。
私の母が、あの時 make ではなく get を選んでくれたこと。そして家庭教師の先生が、小手先のテクニックではなく「五文型」という英語の骨組みを教えてくれたこと。そのすべてが、今の私を作っています。
皆さんも、暗記の先にある「英語の心」を一緒に学んでいきましょう!
「脱暗記、英語OS構築」
これこそがあなたの英語を一生の財産にする核心です。
あなたの英語OSを診断してみる
【衝撃】I am studying. は何文型?800ページの文法書が教えない「英語OS」の真実
練習問題
第1問:仕事の依頼私はプロの業者に、エアコンを掃除してもらいました。
I ( ) a professional clean the air conditioner.
第2問:必死の説得私はなんとか父を説得して、留学を許してもらいました。
I finally ( ) my father to buy into my studying abroad.
第3問:強制的な命令先生は、廊下で騒いでいた生徒たちを座らせました。
The teacher ( ) the noisy students sit down.
第4問:優しい許可私の両親は、私が週末に友達の家に泊まるのを許してくれます。
My parents ( ) me stay at my friend's house on weekends.
第5問:(当然の義務) 私は弟に、彼が汚したリビングを片付けさせました。(弟の責任です)
I ( ) brother tidy up the living room.
第6問:粘り強い交渉彼女はなんとか夫を説得して、皿洗いを手伝わせました。
She finally ( ) her husband to help with the dishes.
第7問:自由な時間上司は、私たちが早めに退社するのを許してくれました。
My boss ( ) us leave the office early.
第8問:抗えない圧力その映画は、私を泣かせました。(感動で涙が溢れて止まらなかった)
The movie ( ) me cry.
第9問:プロへの信頼私は美容師さんに、髪を切ってもらいました。
I ( ) the hair dresser cut my hair.
第10問:最後の難問(tell vs make)母は私に「勉強しなさい」と言いましたが、私はやりませんでした。My mother ( ) me to study, but I didn't.
解答と解説
第1問 had:業者に頼むのは「当然の依頼」なので、距離ゼロの have。
第2問 ③ got:説得というプロセスがあるため、矢印の to を伴う get が正解。
第3問 made:生徒の意志に関係なく、力で従わせる make。
第4問 let:本人がやりたいことを許可する「引き算の使役」 let。
第5問 had:弟が汚したのなら、片付けるのは「役割」なので have。
第6問 ③ got:夫をその気にさせるまでの「苦労(プロセス)」が見えるので get。
第7問 let:部下の望みを叶えてあげる「許可」の let。
第8問 made:感情が揺さぶられて、勝手に涙が出てくる抗えない力は make。
第9問 had:美容師というプロに任せるのは当然の「手配」なので have。
第10問 ② told:結果として「やらなかった」ので、行為を支配する make は使えません。言葉だけを届けた told です。
著者プロフィール

▼ 学歴 ▼
立命館大学産業社会学部卒業。
▼ 海外経験 ▼
イギリス(2年)語学留学でケンブリッジ英検C2Proficiency取得。
Basingstoke市の知的障害者施設で1年働き、実践的コミュニケーション能力を身につけました。
ニュージーランド クライストチャーチ市の Achievement Institute of English の日本エージャントをつとめました。一番大好きな国で五回行きました。その他、スイス・ベルギー、オーストリア、香港、シンガポールを訪れたことあります。
▼ 英語指導・ビジネス経験 ▼
文科省英語教育開発指定校であった、金沢市南小立野小学校で非常勤講師を五年勤めました。中部英語教育学会で「日本人にあった発音指導」という題で発表しました。現在の日本インバウンド事業の草分け的存在である The Real Japan プロジェクトに翻訳者として参画しました。現在は英会話エスティームに専念しております。石川県社会人英語スピーチコンテスト県知事賞受賞歴あり。
▼ 趣味・好きなもの ▼
クラシックギターは20年以上弾いており、去年念願のコンサートデビューを果たすことができました。クラシック、ボサノバ、J-POP、ジャズなど幅広い音楽を演奏します。料理は好きですが、基本がなってないので全て創作です。ですが、味には自信があります(笑)
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生徒さんへメッセージ
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「英語が変わる、未来が変わる」が私の教育コンセプトです。受験生にとっては進学への未来が拡がり、ビジネスマンの方にとっては仕事の機会が拡大し、地元の方にとってはインバウンド観光事業での可能性が拡がります。英語を通じて受講生をポジティブな未来に導くお手伝いをしたいと心から願っております。そのため全身全霊でサポートしますので是非私にご相談下さい。
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