「連結動詞」を消した罪:なぜ日本の英語教育は「論理」を捨てて「暗記の地獄」を強いるのか

私の授業では、よくこんなやり取りを生徒と交わす。
「動詞って形が変わるよね。speak の過去形は spoke、過去分詞は spokenじゃあ、このspeakingって、教科書にも書いてあるけど何という形?」 生徒は自信満々にこう答える。 「現在進行形です!」
この瞬間、私は深い溜息を飲み込む。生徒が悪いのではない。そう教え込み、本質的な「形(パーツ)」と「時制(組み合わせ)」の区別を曖昧にしてきた教育の側が、彼らの知性を曇らせているのだ。
桐島書店の最新参考書『アトラス総合英語』を手に取ったとき、私は同様の絶望を感じた。英文監修にロングマン辞典編集部を迎えながら、そこには**「連結動詞(Linking Verb)」という言葉が一切出てこない**のである。
「動詞って形が変わるよね。speak の過去形は spoke、過去分詞は spokenじゃあ、このspeakingって、教科書にも書いてあるけど何という形?」 生徒は自信満々にこう答える。 「現在進行形です!」
この瞬間、私は深い溜息を飲み込む。生徒が悪いのではない。そう教え込み、本質的な「形(パーツ)」と「時制(組み合わせ)」の区別を曖昧にしてきた教育の側が、彼らの知性を曇らせているのだ。
桐島書店の最新参考書『アトラス総合英語』を手に取ったとき、私は同様の絶望を感じた。英文監修にロングマン辞典編集部を迎えながら、そこには**「連結動詞(Linking Verb)」という言葉が一切出てこない**のである。
1. 誤解を招く「文法用語」の罠:三人称の正体
「用語の不適切さ」は、英語学習のスタート地点から生徒を混乱させている。その最たるものが「三人称単数」だ。 中学生に「三人称」と教えると、多くの生徒が「人が三人いる」状態をイメージしてしまう。本来は **"The third person"、つまり「(自分、相手に次ぐ)三番目の登場人物」という意味だ。この「三番目」という順序の概念を、「三人」という数量の概念と取り違えさせる用語のせいで、人称と単数・複数の区別が根底から崩れ去る。
こうした「日本語訳の不備」や「用語のごまかし」は、至る所に潜んでいる。
「現在分詞」を教えない 前述の通り、studying をパーツ名(現在分詞)ではなく、いきなり機能(現在進行形)として教える。
「連結動詞」を隠す 二文型(SVC)の本質である「主語と補語を結ぶ」機能を教えず、場当たり的な分類で済ませる。
「原形」と「現在形」を混同させる 助動詞の後にくるのは「原形(概念)」であり、現在形(事実)ではない。
こうした「日本語訳の不備」や「用語のごまかし」は、至る所に潜んでいる。
「現在分詞」を教えない 前述の通り、studying をパーツ名(現在分詞)ではなく、いきなり機能(現在進行形)として教える。
「連結動詞」を隠す 二文型(SVC)の本質である「主語と補語を結ぶ」機能を教えず、場当たり的な分類で済ませる。
「原形」と「現在形」を混同させる 助動詞の後にくるのは「原形(概念)」であり、現在形(事実)ではない。
2. ルールは「一元化」できる:しっぽの論理

本来、英語の動詞システムは驚くほどシンプルだ。用語の壁を取り払い、動詞を「構造」で解剖すればいい。
plays = does + play(原形)
肯定文では、時制と人称を司る「しっぽ(does)」が動詞の中に隠れているだけだ。否定・疑問で does が表に出れば、動詞は当然、裸の「原形」に戻る。この「OS」さえインストールしてしまえば、疑問文の語順も一つに集約できる。
「疑問詞 + 助動詞(またはbe動詞) + 主語 + ……」 これだけで、完了形も進行形も受動態も、すべては同じルールのバリエーションに過ぎなくなる。
plays = does + play(原形)
肯定文では、時制と人称を司る「しっぽ(does)」が動詞の中に隠れているだけだ。否定・疑問で does が表に出れば、動詞は当然、裸の「原形」に戻る。この「OS」さえインストールしてしまえば、疑問文の語順も一つに集約できる。
「疑問詞 + 助動詞(またはbe動詞) + 主語 + ……」 これだけで、完了形も進行形も受動態も、すべては同じルールのバリエーションに過ぎなくなる。
3. 連結動詞を教えないことの「真のコスト」
【救いの一手】連結動詞の「本質」を貫く、伝説の辞書
「大人の事情」で連結動詞を伏せる参考書が溢れる中、私が唯一無二の信頼を寄せ、絶望の淵で出会った「正解」があります。それが**『ロングマン英和辞典』**です。
辞書オタクを自称し、書店にあるほぼ全ての辞書を読み漁ってきた私が、あまりの素晴らしさに3冊(!)も所有しているこの「知の遺産」には、日本の英語教育が捨て去った「論理」が脈々と息づいています。
1. 150名の英知が裏付ける「連結(Linking)」の真実
この辞書は、英語学の巨星である池上嘉彦先生やGeoffrey Leech博士をはじめ、日英のプロフェッショナル150名以上が5年の歳月をかけて編纂しました。特筆すべきは、単なる「単語の置き換え」ではなく、コーパスを徹底的に分析し、「どのような場面で、どのように連結されるか」という論理を突き詰めている点です。
2. 連結動詞の「相性(コロケーション)」を解き明かす
私が推奨する「英語OS」の核心は、パーツとパーツの繋がり(論理)です。この辞書は、まさにその「繋がり」を可視化してくれます。
状態の連結: 例えば by nature(生まれつき)。一般動詞と繋ぐのは不可で、形容詞や名詞と「連結」すべきだというルールを明確に示します。
× The Japanese work hard by nature.
○ The Japanese are hard-working by nature.(「主語=形容詞」をareで連結)
相性の科学: hard(硬い)という単語一つとっても、hard meat とは言わず tough meat とすべきだと教えてくれます。この「連結の適正」こそが、論理的英語の正体です。
3. 文化と語法の「解像度」
apologize を引けば、日常的には say sorry で連結する方が自然であると説き、comprehensive school を引けば、英国の教育制度の変遷という背景まで丁寧に記述されています。
言葉を「暗記の記号」から「生きた論理」へと昇華させてくれるこの辞書は、まさに私の提唱する「英語OS」を構築するための最強の補助輪なのです。
「大人の事情」で連結動詞を伏せる参考書が溢れる中、私が唯一無二の信頼を寄せ、絶望の淵で出会った「正解」があります。それが**『ロングマン英和辞典』**です。
辞書オタクを自称し、書店にあるほぼ全ての辞書を読み漁ってきた私が、あまりの素晴らしさに3冊(!)も所有しているこの「知の遺産」には、日本の英語教育が捨て去った「論理」が脈々と息づいています。
1. 150名の英知が裏付ける「連結(Linking)」の真実
この辞書は、英語学の巨星である池上嘉彦先生やGeoffrey Leech博士をはじめ、日英のプロフェッショナル150名以上が5年の歳月をかけて編纂しました。特筆すべきは、単なる「単語の置き換え」ではなく、コーパスを徹底的に分析し、「どのような場面で、どのように連結されるか」という論理を突き詰めている点です。
2. 連結動詞の「相性(コロケーション)」を解き明かす
私が推奨する「英語OS」の核心は、パーツとパーツの繋がり(論理)です。この辞書は、まさにその「繋がり」を可視化してくれます。
状態の連結: 例えば by nature(生まれつき)。一般動詞と繋ぐのは不可で、形容詞や名詞と「連結」すべきだというルールを明確に示します。
× The Japanese work hard by nature.
○ The Japanese are hard-working by nature.(「主語=形容詞」をareで連結)
相性の科学: hard(硬い)という単語一つとっても、hard meat とは言わず tough meat とすべきだと教えてくれます。この「連結の適正」こそが、論理的英語の正体です。
3. 文化と語法の「解像度」
apologize を引けば、日常的には say sorry で連結する方が自然であると説き、comprehensive school を引けば、英国の教育制度の変遷という背景まで丁寧に記述されています。
言葉を「暗記の記号」から「生きた論理」へと昇華させてくれるこの辞書は、まさに私の提唱する「英語OS」を構築するための最強の補助輪なのです。
4. 深刻な現実:論理を説明できない教師たち
最大の問題は教材以上に「教える側」にある。今の英語教育現場には、こうした言語の構造を論理的に説明できる教師が驚くほど少ない。
「なぜ三人称というのか」「なぜ疑問文で s が消えるのか」。こうした本質的な疑問に対し、多くの教師は「そういう決まりだから」「慣れればわかる」とお茶を濁す。教師自身が英語を「論理的なシステム」として捉えていないため、自らの「論理的理解(CALP)」の欠如を隠すべく、楽しい英会話ごっこ(BICSごっこ)に逃げているのが現状だ。
「なぜ三人称というのか」「なぜ疑問文で s が消えるのか」。こうした本質的な疑問に対し、多くの教師は「そういう決まりだから」「慣れればわかる」とお茶を濁す。教師自身が英語を「論理的なシステム」として捉えていないため、自らの「論理的理解(CALP)」の欠如を隠すべく、楽しい英会話ごっこ(BICSごっこ)に逃げているのが現状だ。
5. 「受験英語悪玉論」と共通テストの罠
こうした教える側の怠慢を隠すために使われるのが「受験英語悪玉論」だ。受験英語が悪いのではない。一元化できるはずのルールを解体し、「暗記」に変えてしまった教え方が悪いのだ。 文法問題が消えた共通テストを潜り抜けた世代は今、皮肉にも難化したTOEICのPart 5(構造把握能力を問う問題)で手も足も出なくなっている。「なんとなく意味を繋ぐ」だけの指導は、結果として生徒の実用的な力を削いでいる。
結びに代えて
『アトラス』のような本格派を謳う参考書ですら、既存のカリキュラムへの「忖度」からか、本質的な論理を提示しきれていない。
英語はもっと美しく、シンプルで、知的なパズルのようなものだ。難しい言葉を避けるのが「優しさ」ではない。一度覚えれば一生使える論理を教えず、その場しのぎの暗記でお茶を濁すことこそ、学習者に対する最大の不誠実である。
「大人の事情」で隠された本質を、もう一度私たちの手に取り戻そう。ルールを一元化したとき、英語は「苦痛な暗記」から、あなたの知性を拡張する「最強の武器」に変わるはずだ。
一元化した英語の論理構造からやり直したい人は、英会話エスティーム一択です。是非私にご相談下さい。
当校受講生の体験記→
無料体験レッスンで「自分の現在地」をチェックする
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英語はもっと美しく、シンプルで、知的なパズルのようなものだ。難しい言葉を避けるのが「優しさ」ではない。一度覚えれば一生使える論理を教えず、その場しのぎの暗記でお茶を濁すことこそ、学習者に対する最大の不誠実である。
「大人の事情」で隠された本質を、もう一度私たちの手に取り戻そう。ルールを一元化したとき、英語は「苦痛な暗記」から、あなたの知性を拡張する「最強の武器」に変わるはずだ。
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著者プロフィール

清水 恭宏(Yasuhiro Shimizu)
金沢市の英語パーソナルジム英会話エスティーム代表。
ケンブリッジ大学英語検定 C2 Proficiency(CPE・最上級)保持。20年以上にわたり日本人の英語教育に携わり、石川県社会人英語弁論大会での優勝経験も持つ。かつては文部科学省の研究指定校にて小学生への指導も担当。現在は「英語OS(基本ソフト)」の構築を掲げ、論理的な英文法と認知負荷を抑えた学習指導で、中学生で英検一級合格を叶えた 英語教育のスペシャリスト。
金沢市の英語パーソナルジム英会話エスティーム代表。
ケンブリッジ大学英語検定 C2 Proficiency(CPE・最上級)保持。20年以上にわたり日本人の英語教育に携わり、石川県社会人英語弁論大会での優勝経験も持つ。かつては文部科学省の研究指定校にて小学生への指導も担当。現在は「英語OS(基本ソフト)」の構築を掲げ、論理的な英文法と認知負荷を抑えた学習指導で、中学生で英検一級合格を叶えた 英語教育のスペシャリスト。
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