「型」を覚えても英語は書けない——英検準1級の“なんちゃってエッセイ”と、大阪大学が求める「本物の思考力」

それは、英検準1級に代表される「120〜150語・4パラグラフ構成(理由2つ)」のライティング対策です。
塾や学校では「まず導入を書いて、Firstで1つ目の理由、Secondで2つ目の理由、最後にIn conclusionで締めくくりなさい」という指導が徹底されています。
しかし、結論から申し上げましょう。
あのフォーマットで書かされる英文は、学術的・論理的な観点から見れば「なんちゃってエッセイ」に過ぎません。
今回は、実際に公表されている英検準1級の模範解答と、大阪大学の自由英作文(80語)の解答例を具体的に比較(和訳付き)しながら、なぜ英検型のテンプレが使いものにならないのか、そしてなぜ大阪大学の出題姿勢が「大学入試のあるべき姿」なのかを浮き彫りにしていきます。
120語・4パラグラフという構造的矛盾と「テンプレのオンパレード」
【英検準1級の課題例】
TOPIC: Are urban areas safer places to live than they were in the past?
(トピック:都市部は過去よりも安全な住処になっているか?)
● Use TWO of the POINTS below to support your answer.
● Structure: introduction, main body, and conclusion
● Suggested length: 120-150 words
【模範解答例】
The safety of urban areas has long been a topic of discussion. I believe such areas are safer places to live than they were in the past due to improvements in social services and advances in technology.
First, urban areas have become safer due to improved social services. For example, there are now many social programs that offer mental health and housing assistance. New social services have made urban areas safer places to live for a wide range of people, including many vulnerable residents.
Second, technological innovation has helped increase the safety of urban environments. Modern surveillance systems allow authorities to monitor public spaces effectively. This helps police respond to threats quickly and reduce crime, contributing greatly to the safety of cities.
In conclusion, social service initiatives and technological advancements have improved life in urban environments. They are now safer places to live than they used to be.
【和訳】
都市の安全性は長年議論の的となってきた。社会福祉の向上とテクノロジーの進歩により、都市部は過去よりも安全な住処になっていると私は考える。
第一に、充実した社会福祉によって都市部はより安全になった。たとえば、メンタルヘルスや住宅支援を提供する多くの社会プログラムが現在存在する。新たな社会福祉は、多くの生活困窮者を含む幅広い人々にとって、都市部をより安全に暮らせる場所にした。
第二に、技術革新は都市環境の安全性を高めるのに役立ってきた。現代の監視システムにより、当局は公共の場所を効果的に監視できる。これは警察が脅威に迅速に対応し、犯罪を減らすのに役立ち、都市の安全に大きく貢献している。
結論として、社会福祉の取り組みと技術の進歩は、都市環境における生活を改善してきた。都市部は今や、かつてよりも安全な住処となっているのである。
大阪大学の80語:なぜ「理由1つ」で思考の深さが段違いなのか
【大阪大学の出題例】
効率やスピードを重んじる傾向が世の中にはありますが、それらを追求することについてあなたはどう思いますか。具体的に利点または問題点を1つ挙げ、80語程度の英文で述べなさい。
【大阪大学 解答例(80語)】
The recent trend of prioritizing speed and efficiency has led individuals to grapple with cognitive overload, especially with the widespread adoption of artificial intelligence. Although the latest invention promised to free employees from mundane tasks and let them focus solely on creative work—a utopia—the reality seems to be the opposite. Human beings are bombarded with an unprecedented amount of AI-generated information that they cannot process, leading to mental fatigue.
【和訳】
近年のスピードと効率を最優先する傾向は、特に人工知能(AI)の広範な普及に伴い、人々に認知の過負荷(キャパオーバー)と格闘させる事態を招いている。最新の発明(AI)は、従業員を日常の単純作業から解放し、クリエイティブな仕事だけに集中させてくれる——まさに理想郷(ユートピア)——と約束されていたが、現実はその逆であるようだ。人間は自身では処理しきれない未曾有の量のAI生成情報に爆撃されており、それが精神的疲労をもたらしているのである。
阪大の解答例が見せる「圧倒的な知性」
しかし、ここには圧倒的な論理の深さと大人の知性が凝縮されています。
阪大の指定は「具体的に利点または問題点を『1つ』挙げよ」です。理由を2つ並べる安易な逃げ道を最初から塞いでいます。
この解答例では、問題点を「AI時代における認知の過負荷(cognitive overload)」の1点に完全集中させています。
「効率追求のトレンド」が現代人を追い詰めている
「AIの普及」によって日常業務から解放されるという「理想郷(utopia)」が謳われた
しかし「現実」は逆で、人間は処理しきれない膨大な情報攻撃(bombarded)に晒されている
結果として精神的疲労(mental fatigue)を引き起こしている
First や Second といった機械的な標識語は一切使われていません。
1つのテーマ・1つの論点に対して、「理想と現実のギャップ」という綺麗な対比を盛り込みながら、論理の飛躍なく一貫した因果関係のチェーン(思考の筋道)を作り上げています。
使われている語彙も、単なる難解語ではなく、テーマを正確に切り取るための概念語(grapple with cognitive overload, mundane tasks, a utopia, bombarded with...)が自然に選択されています。これぞまさにCALP(認知・学術的言語能力)の世界です。
「フルエッセイは入学後で十分」という大阪大学の良識
高校生に対し、試験時間の限られた入試現場で「150語程度のなんちゃってフルエッセイ」を書かせるのは、テンプレ暗記を助長するだけで何の意味もありません。
だからこそ、大阪大学の出題姿勢には大学としての深い良識が感じられます。
「形だけの『なんちゃってフルエッセイ』を丸暗記させるくらいなら、まずは1つの主張と1つの理由を、論理の飛躍なく、洗練された英語で深掘りして書ききる力を示してほしい。本格的なアカデミック・ライティング(フルエッセイ)の書き方は、入学後に大学でいくらでも教えるから安心しなさい」
阪大の設問は、受験生に対してそう語りかけているかのようです。
浅い理由を2つでっち上げてテンプレで誤魔化す受験生は、阪大の採点官の前では一瞬で見破られます。たった1つの論点をどこまで深く、ロジカルに展開できるか——これこそが学問を修める場が求める「本当の発信力」です。
表面的な「型」を捨て、思考の「深さ」を鍛えよう
重要なのは、段落の数や表面的な接続詞の丸暗記ではありません。
「自分は何を考え、その1つの論点をどういう論理構造で相手に納得させるのか」
この英語本来の「思考のOS」を鍛えることです。
阪大が突きつける質の高い問いに正面から向き合い、1つの理由を深く掘り下げて書く練習を重ねることこそが、単なる試験対策を超えた「一生モノの論理的発信力」を養う最短ルートなのです。
現実に、「中学レベルの英語で、間違いのない英語を書きなさい」という指導をする指導者はいますが、これは大変短絡的で危険なメッセージです。とりあえず何か書ければOKな国公立大学はあります。しかし、難関大学に同じ戦略で臨むのは自殺行為です。
英語学習の本質に正面から向き合い、本物の学力を身につけたい受験生の方は是非当校にご相談下さい。小手先のテクニックでは到達できない世界へあなたを導いていきます。
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著者プロフィール

▼ 学歴 ▼
立命館大学産業社会学部卒業。
▼ 海外経験 ▼
イギリス(2年)語学留学でケンブリッジ英検C2Proficiency取得。
Basingstoke市の知的障害者施設で1年働き、実践的コミュニケーション能力を身につけました。
ニュージーランド クライストチャーチ市の Achievement Institute of English の日本エージャントをつとめました。一番大好きな国で五回行きました。その他、スイス・ベルギー、オーストリア、香港、シンガポールを訪れたことあります。
▼ 英語指導・ビジネス経験 ▼
文科省英語教育開発指定校であった、金沢市南小立野小学校で非常勤講師を五年勤めました。中部英語教育学会で「日本人にあった発音指導」という題で発表しました。現在の日本インバウンド事業の草分け的存在である The Real Japan プロジェクトに翻訳者として参画しました。現在は英会話エスティームに専念しております。石川県社会人英語スピーチコンテスト県知事賞受賞歴あり。
▼ 趣味・好きなもの ▼
クラシックギターは20年以上弾いており、去年念願のコンサートデビューを果たすことができました。クラシック、ボサノバ、J-POP、ジャズなど幅広い音楽を演奏します。料理は好きですが、基本がなってないので全て創作です。ですが、味には自信があります(笑)
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生徒さんへメッセージ
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「英語が変わる、未来が変わる」が私の教育コンセプトです。受験生にとっては進学への未来が拡がり、ビジネスマンの方にとっては仕事の機会が拡大し、地元の方にとってはインバウンド観光事業での可能性が拡がります。英語を通じて受講生をポジティブな未来に導くお手伝いをしたいと心から願っております。そのため全身全霊でサポートしますので是非私にご相談下さい。
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