English Mastery Insights
英語習得への洞察・知見

「現在形=今」の嘘。名著『マーフィー』の盲点を突く「英語OS」のタイムライン

その英語、ネイティブには「腰掛け」に聞こえています

英会話のレッスンで、生徒さんに「お仕事は何をされているんですか?」と尋ねると、多くの方がこう答えられます。

"I am working for a bank." (銀行で働いています)



一見、学校で習った通りの綺麗な英語に見えますよね。日本語の「〜しています」につられて、多くの方が悪気なくこの形(進行形)を使ってしまいます。

しかし、これが大きな罠なのです。

この英語を聞いたネイティブスピーカーの脳内には、ある独特なニュアンスが浮かんでいます。それは、「あ、この人は本命の仕事が決まるまでの繋ぎとして、今だけちょっと腰掛けで銀行にいるんだな(すぐ辞める予定のバイトかな?)」という、かなり不安定なイメージです。

本人は「私は銀行員です」と堂々と伝えたつもりなのに、なぜこんな誤解が生まれてしまうのでしょうか?

それは、日本の英語教育が教える「現在形 = 今のこと」「進行形 = 今〜しているところ」という教え方に、あまりにも誤解が多すぎるからです。

今回は、脳内の「英語OS」を根本からアップデートし、時制の本質をスッキリ解き明かしていきましょう。

1. 諸悪の根源は、日本語の「〜している」

なぜ日本人はこのミスをしてしまうのか。理由はシンプルで、日本語の「〜している」という言葉が便利すぎるからです。

「今、外を走っている」(一時的な動作)

「私は金沢に住んでいる」(どっしりした状態)

「私は銀行で働いている」(普段の習慣・身分)


日本語ではどれも同じ「〜している」ですが、英語のネイティブスピーカーは、これらを全く別の次元(アスペクト)で切り分けています。それが次の2つのコア・イメージです。

2. 現在形の本質は【Permanent(普遍・永続)】=『いつもの定番事実形』

まず、「現在形」という名前を一度完全に忘れて下さい。現在形は「今の瞬間」を指すものではありません。 現在形の本質は、Permanent(過去・現在・未来にわたって、当面はずっと変わらないこと)です。

イメージは、「昨日もそうだったし、今日もそうだし、明日もきっとそう」という、グラグラ動かない安定した世界です。

I get up at 7:00 every morning.(習慣:今起きているわけではない)
Water boils at 100°C.(科学的真理:いつでもそうなる)
I work for a bank.(属性:当面は変わらない私の本職)



ここで、生徒さんにいつも出すお気に入りのクイズがあります。
Q. マクドナルドでハンバーガーを食べているときに、"I play the piano." と言ったら間違いでしょうか? 答えは「大正解」です。

なぜなら、今まさにピアノを弾いているかどうかは関係なく、「私は(普段から)ピアノを弾く人間です」という変わらないプロフィール(Permanent)を語っているからです。

3. 現在進行形の本質は【Temporary(期間限定)】=『期間限定形』

一方で、現在進行形(be + -ing)の本質は「今まさに」ではなく、Temporary(始まりと終わりがある、今だけの例外的な波)です。

I am working hard on a project.

この文章は、「話しているまさにその瞬間」に手を動かして働いている必要はありません。「(最近始まったプロジェクトがあって、それが終わるまでの)期間限定のストーリーの中に、今私は身を置いているよ」というニュアンスだからです。

一文の中にこの2つを組み込むと、そのコントラストが鮮やかに見えてきます。

I usually drive to work, but I am walking to work to lose weight.

(普段は車で通勤していますが【Permanent】、ダイエットのために今は歩いて通勤しています【Temporary】。)
「いつも(現在形)」と「今だけの例外(進行形)」が美しく対比されていますよね。

4. 【深掘り】名著『マーフィーの英文法』の日本語版が、学習者を迷走させる理由

ここで、時制の学習における決定的な「盲点」をお話しします。
世界的なベストセラー教材であり、多くの学習者が手にする『Grammar in Use(日本語版:マーフィーの英文法)』の第一章(Unit 1)を開くと、こんな解説が載っています。

「『…している最中』のように、現在時に進行中で終わっていない動作は現在進行形(I am doing)にします」
しかし、同じページのすぐ下にあるイラストを見ると、今度はこのように説明が続けられているのです。

「現在進行形が話をしている瞬間に進行していない動作を表すことがあります」
(例:電話で “I’m reading a really good book at the moment.” と話している男性。彼は今まさに本を開いているわけではありません)

この解説を読んで、モヤモヤしたことはありませんか? 最初に「最中だ」と定義しておきながら、直後に「最中じゃないこともあります」とハシゴを外してくる。これでは、真面目にテキストと向き合っている人ほど「英語って例外ばかりでルールが矛盾している…」と頭を抱えてしまいます。

なぜ、世界的名著の日本語版でさえ、このような不親切な解説になってしまうのでしょうか。

理由は明白です。英語の時制を、無理やり日本語の「最中」や「〜している」という言葉の枠に当てはめようとしているからです。

ネイティブスピーカーの脳内は、そんな矛盾した処理はしていません。 彼らにとって、前半の例文(シャワーを浴びているなど)も、後半のイラスト(最近本を読んでいるなど)も、例外なくまったく同じひとつの箱に入っています。
それが、先ほどお伝えした【Temporary(期間限定)】というOSです。

「数分〜数時間」の短い波なのか、「数日〜数週間」という少し長めの波なのかという「時間の幅(スケール)」が違うだけで、彼らにとってはどちらも「始まりと終わりがある、一時的なストーリーの中に身を置いている状態」に過ぎません。

「今まさに」という日本語の訳にとらわれていると、この美しい一本の線(ロジック)が見えなくなってしまうのです。

5. 状態動詞が「進行形にできない」と言われる本当の理由

学校で「know(知っている)や love(愛している)などの状態動詞は進行形にできない」と丸暗記させられませんでしたか?

これも、 Permanent と Temporary の視点があれば、ルールではなく「論理」で一発で理解できます。

状態動詞の本質は、それ自体が最初から Permanent(どっしり安定していて、自分の意思で5秒だけ止める、といったコントロールができないもの) です。 最初から永続的な性質を持っている動詞を、わざわざ「今だけの期間限定の箱(進行形)」に押し込もうとすると、脳内で意味が破綻してしまう。だから「あえて進行形にしない」だけなのです。

6. 【応用編】マックだけじゃない!状態動詞が「あえて進行形」に化けるとき

ところが、勘の鋭い方はこう思うはずです。 「じゃあ、マクドナルドの

“I’m lovin’ it.” は何なの?」

と。

実はネイティブは、日常会話でこの状態動詞をあえて進行形の箱に放り込むことで、強烈なライブ感を表現することがあります。

いつもはフラットな状態(Permanent)なのに、「今この瞬間、感情の波がボコボコと湧き上がっている!変化している!」というTemporaryな躍動感を出したいとき、禁じ手であるはずの進行形が発動します。

① 感情の爆発(今まさに噛み締めている)
I’m liking this new lifestyle. (いつもではなく、この新しい暮らしが今まさに「すごく気に入ってきている波」に乗っている)

② 理解や記憶のグラデーション(変化のプロセス)
I’m finally understanding what you mean. (「知っている/知らない」のゼロ百ではなく、「今、頭の中でだんだん分かってきたぞ…!」という霧が晴れるプロセス)

③ 「今だけそういう態度をとっている」
Why are you being so polite today? (普段はガサツなのに、「なんで今日に限ってそんなに礼儀正しく振る舞っているの?」

まとめ:時制とは「世界の切り取り方」である

英語の時制を選ぶということは、単に時間のパズルを解くことではありません。 自分がその目の前の事実を、「どっしりした安定したもの(Permanent)」と捉えているのか、それとも「今だけの例外的な心の躍動(Temporary)」と捉えているのか。その「世界の切り取り方」を選んでいるのです。

現在形=定番事実形


現在進行形=期間限定形




言葉の表面的な日本語訳を丸暗記するだけの「迷走する英語学習」からは、もう卒業しましょう。


脳内に正しい「英語OS」を構築すれば、ネイティブスピーカーが世界をどう見ているのかが、驚くほどクリアにシンクロし始めますよ。

マーフィーの English Grammar in Use は、正しいナビゲーターの視点があって初めて、単なる問題集から「生きた言葉の教科書」へと生まれ変わります。一人でテキストの余白と格闘し、モヤモヤしたまま答え合わせを繰り返す必要はありません。

当スクールでは、世界的基準のケンブリッジ最高峰資格(C2 Proficiency)ホルダーである講師が、国内外の優れた教材のポテンシャルを120%引き出しながら、あなたの英語力を最短ルートで引き上げます。

「この解説の続きをレッスンで体感してみたい」「マーフィーを使って、もっと深い英語の本質を学びたい」という方のご相談を、心よりお待ちしています。あなたの「あ、そうか!」というアハ体験を、私と一緒に作っていきましょう。


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📝 脳内OSを書き換える「時制選択」練習問題

【問題】
①My father usually (drink) coffee in the morning, but he (drink) green tea today.
(父は普段は朝にコーヒーを飲みますが、今日は緑茶を飲んでいます。)

②I (work) as a web designer, but I (take) an online Spanish course these days.
(私はウェブデザイナーとして働いていますが、最近はオンラインのスペイン語講座を受講しています。)

③It (rain) a lot in June in Japan, but the sun (shine) beautifully today.
(日本の6月はよく雨が降りますが、今日は美しく晴れています。)

④Why are you so mean to her? You (be) usually very kind.
(なんで彼女にそんなに意地悪にするの? 普段はすごく親切なのに。)

【解答と指導のポイント】
①drinks / is drinking
ポイント: usually がある前半は「いつもの習慣(Permanent)」なので現在形。today という「今日だけの例外(Temporary)」の後半は進行形になります。

②work / am taking
ポイント: 本職(Permanent)は現在形。these days(最近)という「人生の今のフェーズだけ一時的にやっていること(Temporary)」は、今この瞬間に受講していなくても進行形になります。

③rains / is shining
ポイント: 気候という「毎年の変わらない事実(Permanent)」は現在形。今日という「1日限定の天気(Temporary)」は進行形です。

④are being / are
ポイント: 相手を詰問している前半は「今だけの異常な振る舞い(Temporary)」なので進行形(are being)。後半は「本来のあなたの性質(Permanent)」なので現在形(are)になります。

著者プロフィール

英会話エスティーム英語コンサルタントの清水恭宏です。1999年より「一人一人に完全に合わせたオーダーメードレッスン」を提供してきました。現在は金沢市内教室での対面レッスンに加えて、ドイツ・ベルギー・シンガポールでインターナショナルスクールへ通う児童、そして帰国子女、ビジネスマン、医師、受験生、主婦の方まで幅広い層を指導しております。世界最高峰の英語資格であるケンブリッジ英検C2Proficiencyを取得しておりますので、CEFRA1からC1レベルの方まで幅広く指導できます。中学生で英検一級も輩出しており、指導力には絶対の自信を持っております。指導はIPA国際発音記号の徹底で「通じる英語」の基礎を築くことから開始します。初めて英会話レッスンを受講する方、他スクールで学んで成果を上げられなかった方是非私にご相談下さい。

▼ 学歴 ▼
立命館大学産業社会学部卒業。

▼ 海外経験 ▼
イギリス(2年)語学留学でケンブリッジ英検C2Proficiency取得。
Basingstoke市の知的障害者施設で1年働き、実践的コミュニケーション能力を身につけました。
ニュージーランド クライストチャーチ市の Achievement Institute of English の日本エージャントをつとめました。一番大好きな国で五回行きました。その他、スイス・ベルギー、オーストリア、香港、シンガポールを訪れたことあります。

▼ 英語指導・ビジネス経験 ▼
文科省英語教育開発指定校であった、金沢市南小立野小学校で非常勤講師を五年勤めました。中部英語教育学会で「日本人にあった発音指導」という題で発表しました。現在の日本インバウンド事業の草分け的存在である The Real Japan プロジェクトに翻訳者として参画しました。現在は英会話エスティームに専念しております。石川県社会人英語スピーチコンテスト県知事賞受賞歴あり。

▼ 趣味・好きなもの ▼
クラシックギターは20年以上弾いており、去年念願のコンサートデビューを果たすことができました。クラシック、ボサノバ、J-POP、ジャズなど幅広い音楽を演奏します。料理は好きですが、基本がなってないので全て創作です。ですが、味には自信があります(笑)
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生徒さんへメッセージ
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「英語が変わる、未来が変わる」が私の教育コンセプトです。受験生にとっては進学への未来が拡がり、ビジネスマンの方にとっては仕事の機会が拡大し、地元の方にとってはインバウンド観光事業での可能性が拡がります。英語を通じて受講生をポジティブな未来に導くお手伝いをしたいと心から願っております。そのため全身全霊でサポートしますので是非私にご相談下さい。


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